大地
寒雪


雑草もいなくなって
剥き出しの岩肌を
木枯らしにさらけ出して
底冷えする意地悪さに耐える
荒れ果てた大地の上に
白く化粧を施した
柔らかな新雪が
みんなで手を携えて
降り積もっていくのを見てる
沈み行く太陽の
別れを惜しむ悲しみにも似た
地平線を紅く染め上げる陽光を
全身一杯に受けながらも
その白さを変えることなく
緩やかに体を次々と重ねていく
新雪の強さに心を震わせる
やがて地肌が隠れた大地は
新雪で隙間なく埋め尽くされる
その光景を見て思わず
飛び出して足跡をたくさんつけ
新雪をこねくり回して汚す
自分の心を塗装してしまいたくて
懸命に茶色の領域を増やしていく
寒空の下
気が付くとぼくは
たくさん目から涙を零していた


自由詩 大地 Copyright 寒雪 2011-01-03 09:29:21
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