宗教を遠ざけて生きてきた
kauzak
コンテンポラリーダンスの舞台で描かれた
ゴーギャンの半生
鮮やかな身体表現で再現された彼の代表作
われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか
鬼気迫るダンスは深層に届いたのだろうか
いま、この地で私たちは
この問いを受け止めることすら困難なのに
私たちの街には教会/神社/寺院がある
けれどそれは日々の生活の中で存在感が薄くて
宗教施設という記号でしかないというこの地で
われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか
私たちには
いまここしかないと
いまここがすべてだと
信じ込むことで死を遠ざけて
祈ることを日常から消して
何かに追われるように生きてきた
見たくないものから目を逸らすかのように
そんな私たちは老いていく身体/精神に直面して
初めて死に正面から向き合う
徒手空拳で
われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか
祈ることを消してしまった私たちには
経典を捨ててしまった私たちには
自らの内なる発露としては持ち得ない問い
ただ漠然とした不安を形にした言葉として
理解できるに過ぎなくて
それが不幸なことなのかどうかも分からないまま生きている