秋の回旋塔
こしごえ
即興演奏の融合した空がこのからだで倍音を
発する。満月の銀の弦が冷たく光る。
目を瞑った先に見える映日果が上映される
夕べに伝言する蝙蝠の光子は
舞台裏で旋回し観客には映らない。いつも
遊園地ではのっぺらぼうの笑顔が撮影
されてしまう。理由は誰にも解らないが、写
真機だけは知っている影の行方。素通りする
蟻の行列
翅を失った夜へと
猫の瞳は
新月を
む かえる
昨日も亡き朝に、昇る産声を
連峰の胎は切り そろ えた。朝焼けが、
空へ沈むあかあかと。
そして空はみずみずしい青を孕む
限りある砂時計の接点で落ち合う
真砂は抱き合い風は演奏を再開する
岸はひとすじの雲へ湾曲してばかり
さかのぼる魚は群れをなし
四季の獣はさまよいはしる
(私は無言の眩暈にさらされる)。真っすぐ
円をかく
宙を、ささえむすぶ骨は枯れて土にかえる
、白い縁の窓を。
みずからをまわしまわり続ける私は、
道すがらふし目がちにうつむいて、天高く
天高し(深呼吸すると青く澄み近づいた
貴方と出あえたことを一生忘れません
木の実は
よく実り
生きものに食べられ
種を落とし
いずれ
空へと
水性の華も めぐります