幾千のノイズをくぐり抜けて
塔野夏子

君と会ったら
君と交わす言葉で
森を作ろう
いろんな樹がざわめいて
ざわめきの中から 光がこぼれてくる森を

君も(そう 君でさえも)
僕を救うことはきっとできない
けれどそれでも君が存在しているそのことで
どんなに僕が守られているか
知っているかな

君のはばたきが時に危なげにかしいでも
僕も手を差しのべはしない
けれど君の秘密を花束のように
ずっと抱きつづけているよ

冬だね
寒がりな君も
あのよく似合う帽子とコートで
白い息吐きながら街角を歩いているんだろう
淡い虹がかかったら
夢見る瞳で見あげて

君と会ったら
君の水平線と僕の水平線を
やわらかく重ね合わせよう
そしてその向こうから
はじめての星がのぼるのを二人して眺めよう





自由詩 幾千のノイズをくぐり抜けて Copyright 塔野夏子 2010-12-29 20:36:50
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