泣き声
森の猫

次女を産んだ 赤十字病院は
母子同室だった

その日は 満月で
ベビーラッシュ

   土屋さんは もう大丈夫よね

そう 看護士に言われて

まんまるの目の大きな新生児は
半日もすると 
あたしの隣に
小さな プラスチック箱の
ベビーベッドごと来た

3時間おきの 授乳が始まった

病室には
他にも 新米ママさんが三人いた

あたしは先輩でも 8年ぶり
出産の疲れで ウトウト眠る
泣き声で 目が覚める

他人には
赤子の泣き声など
同じにしか聞こえぬだろうが

不思議と自分の娘の
声にだけ反応して
バチッと 目が開く

母子にしか わからぬ絆
愛しい 力強い
泣き声


自由詩 泣き声 Copyright 森の猫 2010-12-27 17:05:31
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