青空の侵入
オイタル

わかささん
鋼色に丈を伸ばす坂道を外れて
側溝を三十メートル
車ごと転げていく
わかささん
弾んで 落ちて
そのとき少しずつ
速いスピードで 窓から
青空片が 舞い込んでくる

雪原の上で
ぱああんと
青空が弾けて
朱の混じる雲が割れる
青空が
青空まで
の青空
ぱあ
あああんと
響く
尖ったのと 丸いのと
とても青く

緑の帽子の少年が
スキップ踏んで
飛んでいく
わかささんの
小さい窓の隣り

わかささん

わかささんの
枯れた口元から
ひとつぶずつの青空が
地表を鮮明に汚していく
わかささんののど元に
散って積もる
青いかけらと
一気に遠くへいく

空色の
わかささん


自由詩 青空の侵入 Copyright オイタル 2010-12-26 16:22:49
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