最終定理
Giton

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この世界の深奥に向かって
しんしんと沈みゆく夜
遠くで花火の揚がる気配
きみの寝息はぼくの腕のなか――
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いまやフェルマーはすべて証明されたが
依然として主は姿見せ給わぬ
氾濫の退いた地に3・4・5の縄を
あてがっていた時代はまどろみの彼方
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われらはどれだけ賢くなったというのか
複雑な記号と計算とを駆使した幾世代もの
探究のすえわれらは古びた測地縄を
発見しただけだったのか
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きみの寝息はぼくの腕のなか
沈んでゆく夜にきみの暖かさがつづく
ことを祈り昔荒れ地で誕生した
幼な子を思い彼の孤独と決意とを
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感じようとするこの沈みゆく夜に
きみの暖かさがつづく限りわれらは
深く深く下降してゆく世界の深奥に
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深く沈む 隔てるもの無きわれらは
消えるように深く 夜が冷たく
静かに われらを包む
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自由詩 最終定理 Copyright Giton 2010-12-25 20:39:00
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