亡淵者
ブライアン

望遠郷の果て、山、川、光
乗り回す男の姿は、橋を越えたならなくなってしまう。
写真つきの、身分証の、提示を、強要された橋の下
認め損ねたのは魚。飛ぶ、鳴く。
後部座席、男は身を深く椅子に沈めていた。
黙ったまま、橋の上、
蝋燭のように弱々しい電灯の炎を見ていた。
ここは、居心地が悪い、と
出される酒を口に運ぶ。

窓越し、昼、空は高い、青い。
山、川、光はもう見えない。
さあさあ、と
踊り始め、道化になりましょう、と。
なりましょう。
流れていく風の真っ直ぐな風の線を
さあさあ、と目で追いかける。
遠く、遠くに思うもの
遠く、遠くに思うもの


自由詩 亡淵者 Copyright ブライアン 2010-12-23 22:07:10
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