フライングサンタ
nick
灰色の階段を降りて
いつものランチセット
髭の生えたマスター、60代
階段と同じ色
カウンター越しの威圧感で
パスタの味がちょっと鈍くなった
なのでうっかり塩をかけすぎてしまい
食後のコーヒーまで辛抱のひととき
著書は高いが売れているようだ
一応、興味がある素振りをする
私は失礼な客だ
だけど週に2回は必ず来ている
町ではチキンとケーキの予約が絶えないようだ
いつもと何ら変わらないこの店に
何を求めているのかは知らない
ただ来たくて、来ている
コーヒーが終わり
会計を済ませるときの鋭い眼
私の知り合いに白髪のおじさんは少ないから
マスターあなたがサンタさんでいいや