Space Captain
……とある蛙

その昔 俺は 宇宙の中を飛び回っていた。
織り姫に懸想して、彦星から追われもした、
白鳥の首根っこも押さえもしたし、
ペテルギュウスのおならも嗅いだ。
オリオンの楯を盗んだり
カシオペアの辺りを行ったり来たり
結局なんでもなく女房子供に囲まれて
この地球で親父になった。

その昔 俺は たくさん星屑を集めて
アフロディーテにプレゼントしたり
マルスやバッカスと
酔っぱらって殴り合いの喧嘩もした。
ジュピターをからかって
奈落の底まで追いかけ回された。
しかし、
記憶の始めと終わりはあっけないもので
たくさん宇宙船に詰め込んだつもりだったが
ほんの僅かしか積んでいなくって、
宇宙の塵のような物だった。

だけど死ぬまであいつら星達と一緒だ
だけど死ぬまであいつら星達と一緒だ。

あいつらに俺は見えないけど
俺は顔を見上げるだけであいつらが見える。

だから死ぬまであいつら星達と一緒だ
だから死ぬまであいつら星達と一緒だ。


自由詩 Space Captain Copyright ……とある蛙 2010-12-21 12:27:57
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