《祭りの夜に》
東雲 李葉
渇いた太鼓と踊る笛音。
人々影々囲む祭壇。
風がさざめき炎が爆ぜ
清めの水と木霊する声、声、声
神への言葉。
難解な呪い。
無知の祈り。
供物が照らされ煌々と。
熱に揺らめく向こう側。
大人たちの儀式の隅で持て余された子どもたちは。
指を絡めて暗い木陰へ。
虚ろな両目は爛々と。
熱に浮かされ舌を捻り。
たどたどしい触れ方で皮膚を滑る。
真っ赤な衣裳に目が眩み
細めても見えるはにかむ笑顔。
分かり切ったことを聞く声は
青い衣裳に目を広げ深く息を吸い込んで。
火照った肌を預けてくる。
包み込む深い海色。そこに沈むは夕日色。
溶け合う音は囃子に消され二人だけの言葉が行き交う。
滴る汗が布に染みても
祭祠の意味を知らない子には些細なこと。
神さまは僕らを咎めるだろうか。
そんなことはどうでもいいと。
仰向けの瞳に映る星を受け
剥き出した野性の目醒めに青草が馨る。
抗えない生への衝動。
焚き付けるは祭りの夜。
言霊を含んだ唇が
君の名前の形になる。