《祭りの夜に》
東雲 李葉

渇いた太鼓と踊る笛音。
人々影々囲む祭壇。
風がさざめき炎が爆ぜ
清めの水と木霊する声、声、声
神への言葉。
難解な呪い。
無知の祈り。
供物が照らされ煌々と。
熱に揺らめく向こう側。
大人たちの儀式の隅で持て余された子どもたちは。
指を絡めて暗い木陰へ。
虚ろな両目は爛々と。
熱に浮かされ舌を捻り。
たどたどしい触れ方で皮膚を滑る。
真っ赤な衣裳に目が眩み
細めても見えるはにかむ笑顔。
分かり切ったことを聞く声は
青い衣裳に目を広げ深く息を吸い込んで。
火照った肌を預けてくる。
包み込む深い海色。そこに沈むは夕日色。
溶け合う音は囃子に消され二人だけの言葉が行き交う。
滴る汗が布に染みても
祭祠の意味を知らない子には些細なこと。
神さまは僕らを咎めるだろうか。
そんなことはどうでもいいと。
仰向けの瞳に映る星を受け
剥き出した野性の目醒めに青草が馨る。
抗えない生への衝動。
焚き付けるは祭りの夜。
言霊を含んだ唇が
君の名前の形になる。


自由詩 《祭りの夜に》 Copyright 東雲 李葉 2010-12-21 11:35:44
notebook Home