水仙の歌
乱太郎

夜風が寝る前に君に教えてあげよう
僕が昼寝していた時のこと
公園の芝生にやんわり擦られながら
木陰がそっと忍んできて
日射しを追い払ってくれたみたいで
すっかり夢心地に浸ってしまって
何故か鮮明に覚えている

沼地の畔で君がひとり
生まれたままの姿でたたずんでいた
そして歌っていたんだ
ローレライの歌のようにも聞こえて
どこか淋しげ
やがて雲が灰色に変わり
激しい雨が君を襲う
それでもじっと耐えていた君は
虹の下で水仙になっていた
白い水仙だ
それから蝶や蜜蜂が何度も君を訪れ
花粉を運んでいく
受粉した水仙があちこちに咲きはじめ
君の歌が森中響き渡っていったんだ
それは
綺麗で楽しそうに聞こえたよ

もしかして
本当にいま君が歌っていたりして
だったら嬉しいな
夜風が寝る前に
僕は夢の続きを探しに行って来るよ

おやすみなさい


水仙のような


自由詩 水仙の歌 Copyright 乱太郎 2010-12-20 16:42:03
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