季節が終わるとき
塩崎みあき

なんでもない窓辺
縦長いシルエットの
木がカーテンの隙間から覗き
黒い鳥が音もなく羽ばたいている
低刺激な窓辺

つまらない
そんなものいらない

雪を寒天で固めて作られた
壁に背を向けて
ひとつの感謝の言葉も発せず
駆け出した

海の見える岬の家に生まれたかった
それだけ

何か解らず
何故か解らず
駆けても

駆けても
心より先に体が行けない
胴体に
ゴムひもを巻かれ
家畜のように
えんえんと決められた
エリアを回る

どんなに願っても
叶えてくれない

悋気を起こしても
宥めてくれない

追いかけてこない

一人にもしてくれない

つまらないと思っていた日々

それだけと
小さな願望にすがりついていた

ゴムひもを自ら
ゆっくりと引き戻す

家畜ではなかった

確固たる意思のもとに
選択をして
帰っていた
窓辺に


自由詩 季節が終わるとき Copyright 塩崎みあき 2010-12-18 04:42:32
notebook Home