不思議の次のところ
とんぼ
小さい方から数えて100番目の不思議の前で
両足を揃えて立ち止まる
ずいぶん背が伸びたなあと、自分の後ろにできた影を見て思う
1番目の不思議は、どうしてごはんを食べなきゃいけないんだろうってことだった
それは妹が教えてくれた
妹が残したごはんを母さんが自分の皿に寄せて食べた
その悲しい目で
2番目の不思議は、どうしてみんなが神様を必要とするんだろうってことだった
それはじいちゃんが教えてくれた
じいちゃんのお葬式が終わってしまって
わたしには祈るより他に、じいちゃんにしてあげられることがもう、ひとつもなかった
3番目の不思議は、どうしてわたしはカイジュウのきぐるみを着てるんだろうってことだった
それは自分で考えた
だって襲われたくないから
男の人に噛み付かれたら 跡が残るものね
男の人がみんな犬だったらよかったのにね
空の青いことも、石を砕くとなんだか気持ちいいのはどうしてということも、虹も、
99番目まではもう解いてしまった
わたし大人になったから
小さい方から数えて100番目の不思議の前で立ち止まってわたし
全部に納得したらかえる約束をした
何も不思議ではないところへ