エフユーエヌ〜熱烈な身体〜
レイヴ
間違いない
これは事実
人工的では無い事実
必然的な自然の末の
人工的では無い事実
視覚と聴覚
やがて陶酔しました
目なんか塩水で保護されています
過保護なくらい
脳は排除する廃除する
記憶的粗大ゴミ
あの時の恥なんて
0コンマ2秒で埋め立て地
中央にはこの国最高級の生地で出来た座布団を用意して
体全員が歓迎体勢へ
なんてったって
主人が久しぶりに
恋の人を見つけたんですもの
心臓はギアを入れ替え
動脈も静脈も新幹線並み
皮膚は半日で生まれ変わって
膜達は神経を集中させる
あぁこんな状態久しぶり
何もない荒れ地に
花一面に咲いたみたいな
子宮の存在を
改めて実感したような
人は人を変えると聞くけど
こんなに一秒一秒が
虹を作っていくなんて
あの時抱かれた人の名前は何だったかしら
もう誰も覚えてない
記憶を司る脳さえ
リニューアルオープンしたもの
瞼開閉させなくても
座布団が暖かいから
いくらでも桃色吐息吐き出せるわ
今の主人
色に例えるなら
鮮やかな赤
真っ赤過ぎて所々オレンジになってる
長い間灰色だったそれを
簡単に塗り潰した
その存在
まるで薬物
脳は酷く興奮しだして
一つでも多く情報収集しようと
片時も目を逸らさない
ショッピングの約束って
今日だったかしら
明日だったかしら
体全体が
彼を含ませ始めている
そこには
この世最高級のカシミアのソファーを据えて
両脇にはもぎたてのフルーツを
鳥の羽で出来た扇子を扇いで
最高の持て成し
それと同時に
有り余る愛を毎秒毎秒
限りある寿命を毎秒毎秒
全神経を毎秒毎秒
届けます
気付けば主人
しばらく口を開けていない
喉も震わせていない
部屋の掃除もしていない
そういえば
お母さんと会っていない
仕事で必要な資料も作っていない
周りに人は
見当たらなくて
独りなんだと知った
間違いない
これは事実
人工的な事実
必然的な自然の末の
人工的な事実