追憶
アラガイs


唸り声をあげ奥深い夜の森を駆け抜けた氷の風
冬は痛々しい姿で朝陽を浴びる〃針葉樹の霧氷はさらに美しい〃
ひとつ白い息を吸い込んで吐いた
孤独だろうと、そっと目を閉じれば、 広い母屋にひとり母の手編む姿が浮かんでくる。
春先に父が死んで記憶に残るモノは
買い物に行く、と言えば出たがりな顔に必ず付いてくる、足元の〜ふらふらと衰えた小さなひよこ歩きくらいで
まだ元気だった頃の残像は途切れ途切れに重なり
薄くフィルムに閉じ込めたまま
被写体は何故か、それよりも以前が朧気な霞み 。

儚くも
血のかよいあうもの
忘却とは残酷な表象の杖に、恩などと口にだせばだすほど見え透いた自分が甦り、
思い起こすこと、それで、より強く生きてゆけるのならばと、わたしは、つい、導かれる、わたしのことだけを考えてしまう
そして、あなたの指の先、を思ってみたりも する
故の
生を乞う不浄さに
自然とは、その偉大さが永遠に灯る火のように感知されるとき
誰しもが振り返り、いつのまにか胸に描くもの
(そよ風に小さく笑い合う三色すみれ

汗をかき/夏の日射しに耐えた向日葵

哀しくも青空を見つめながら/秋桜が、揺れた )
山の、紅葉に、色づく 海の
雨に(散る
桜)
みんな、ひとりひとりの記憶と共に
流れては、浮世絵の
明けては墨のような文字がまた、
静かに消えてゆくとき 。









自由詩 追憶 Copyright アラガイs 2010-12-15 23:49:22
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