ノート(ひとつ けだもの)
木立 悟







実が実を噛んで
光は動く
うねるかたちが
午後をなぞる


あたたかい布
罪びとは
そこにそのまま
あたたかいまま


咽 骨 頬
まるい羽
かたちを内から押すかたち
湾の白 曲の白


夜も午後も朝も昼も
落とし子の落とし子の落とし子と
さげすまれても
ひらきつづける


名残りの息を肩にかけ
銀から土に抜けようとする
衛星の運行
まぶしすぎる近似値


抗うものから染み出す金に
常に常に緑は応え
午後をひとつの帯にする
方も向も失く行き来する


足りない水に鉛をそそぎ
沈む熱こそ視線の証
誰かが居るのに誰も居ない家
燃やしはじめて国が消えた


隠し廻り 塗り廻る
罪の歩幅の夢から覚めても
二本の足はぬかるみに在り
あとの二本も肥溜めに在る


けだものよ
まばたきに牙持つけだものよ
毒の糸であればあるほど
応えぬ銀河に口つぐむのだ


花を燃やし うたしたたらせ
傷の発芽 傷の羽
どこまでもどこまでも
非対称の空 放ちゆく




























自由詩 ノート(ひとつ けだもの) Copyright 木立 悟 2010-12-15 23:39:29
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