ノスタルジア
ガマパックン

忘れられないものを抱きしめると
思いのほかウェットで
涙まみれに崩れて僕の服を濡らした
夕日の差し込む児童公園と
ブランコの作る影が
混じりあって溶けて
瞳からあふれ出す

ジョバンニとカムパネルラが
しきりに「オーロラだ、オーロラだ」と
はしゃいでいる横で
僕は水蒸気に乱反射する光の屈折や
その他科学で習ったたくさんの知識を頭の隅に追いやり
「あれはこの雪の大地を寒さから守る
夜のカーテンだよ」
と教えてやると
彼らの白い息が夜空に溶けて
消えてゆくのだった

一滴の涙は
夜空の外側を流れ落ち
それを観測していた科学者たちは
たくさんの流星の中で
宇宙の真下で一斉に
四葉のクローバーを探し始める
そして
暖かな胸に抱かれて
ひとりまたひとりと
泣きながら溶けていく


自由詩 ノスタルジア Copyright ガマパックン 2010-12-15 20:13:43
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