赤い服の取り立て屋
北大路京介
真っ赤な お鼻は、呑んでるし・る・し〜♪
焼酎片手に〜 テレビと喋る〜♪
不景気といえど やっぱボーナス出たら、嬉しいなぁ
初ボーナス♪
久しぶりに贅沢して、美味しいものでも食べようかなぁ〜
ピンポーン ピンポーン(ドアホン)
はい・・・ どちら様ですか?
「 ワシや。 サンタや。 開けてんか 」
(怪しすぎる。。。 )
ちょっと今、手が離せないので またこんど。。。
「 ほな、待たせてもらうわ。 とりあえず、家入れてーな 」
(警察呼んだほうが良いかな? )
少々お待ち下さい
(110番で良いのか、それとも近くの警察署にかけたほうが良いのか)
ん?(背後に気配が)
わぁっ!
(振り向くとサンタらしい白ヒゲおっさんが!)
「 ワシを誰やと思ってんねん。 瞬間移動ぐらい出来るわ。 」
じゃぁ、本物の??
「 本物のサンタや。 見たら分かるやろ?? ホッホッホゥ 」
まだ12月の中旬ですよね?
「 おう。 カレンダーぐらいチェックしてるわ 」
あわてん坊の?
「 アホか。 プレゼント持ってきたんと違うわ。おまえも ええ大人やろ! 」
なにしにいらしたのですか?
「 じぶん、ボーナス出たやろ? 」
はい。 いま それを喜んでたところですけど。
「 これまでのプレゼント代、払ってもらおか。 12万円。 」
えっ? えぇっ?!
ちょ ちょー いきなり来て、請求って?!
「 プレゼントは、タダちゃうねんぞ。 払うのは、当たり前やろ。」
だから、父か母が買ってくれたのを 夜中に枕元に・・・
「 ちゃうねん! おまえは、ちゃうねん! 契約書あるから、見て 」
契約書??
えぇっと、、、 "初ボーナスで払います" っと。
あっ オヤジのサインがっ!!
ハンコも押してある!
「 な? "あと払い方式"やってん。 だから12万、払ってんか 」
えーっ
うち貧乏やったから、よくサンタさん来てくれたなぁ とは思ってたけど。
「 借りたもんは返す。 サンタなめとったら あかんで ホッホッホゥ 」
そういうことでしたか。
納得いきましたが、あんまり嬉しくないですね。
ボーナスで、買う予定だったものも買えなくなるし。
「 でも、おまえ、あれやで。 子供の頃に欲しかったもの手に入ってたやん。」
そうですねぇ。
ファミコンも、、、
貧しい家庭では買えなかった夢のまた夢。
「 そうそう。ディスクシステムも PCエンジンも贈ってやったなぁ。」
懐かし・・・
「 ほら、そのときに おまえが書いた手紙も 見せたるわ 」
あぁ 僕の字だ。
『 サンタさんへ "武豊のエキサイトダービーゲームをください" 』
、、、欲しいもの書いてるだけ! じつにシンプル。
懐かしいなぁ
あのゲーム、くそゲームでしたよ。
馬のコマが ゆっくりボードをまわるだけ・・・
でも なつかしいなぁ
「 懐かしさに涙ぐんでるとこ悪いんやけど、はよ払ってーな 次もあるねん 」
はぁ 12万か。。。
「 なぁ、じぶん。じぶんはラッキーなほうやで! 今年は円高やさかいな。 」
あぁ ホントだ、円高だから今年は海外の大物バンドも来日公演多かった。
「 そうやで。 スパッと払ってスッキリして、新年を迎えようやないか 」
はい。
父母に感謝した気持ちが、おかしな感じですが、払いますよ。
いち、にぃ、さん・・・ じゅういち、じゅうにっ!(札を数える)
確かめてください。
(札を数えるサンタ。)
「 たしかに。 ちゃんと貰いました。 これ、領収書。 」
サンタさん、、、
ビジネスとはいえ、ありがとうございました。
あなたがクリスマスにプレゼントをくれなかったら、
マリオもドラクエも 信長の野望も出来ませんでした。
僕が 初ボーナスを貰うまで、
ここまでやってこれたのは サンタさん、あなたのおかげです。
ありがとーございました!
「 えぇって。 泣くなや。 そんな礼言われても、いくらもまけられへんで。 」
サンタさん、もし、
もし、僕が結婚することができて、
そのうち、子供も生まれたら・・
うちの うちの息子か娘のために また来てくれますか?
「 ・・・息子か娘が 初ボーナスで払うんか? 」
もちろん!
「 ホッホッホゥ ガキが生まれたら、また来たるわ 」
よろしく御願いします!
「 ほな えぇクリスマスを! ホッホッホゥ 」
サンタさんも ええクリスマスを!