言葉の墓標
シホ.N

   
音もない暗がりは
言葉のない世界だ

言葉のない世界とは
そう簡単なものではない

あらゆる感覚器の受容体の
スイッチをオフにして
体験する世界
とらえようのない間
対する客体のない主体

かつて詩人が
硬質な言葉によって
言葉のない世界を
反転表示のようにあらわした
それは今なお標しである

言葉によって
純粋精神はあらわし得るか
言葉によって
あらわすものは空虚でもある
言葉による構築
構築による言葉
自己解体に至る道

愚弄な言葉を
吐いては吸って
掃いては捨てて
言葉の墓標を立てつづける



自由詩 言葉の墓標 Copyright シホ.N 2010-12-12 23:55:29
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