考えなし
寒雪



星の瞬きがまぶしすぎて
僕は目の前から続く
舗装の荒れた道路を見失った
これからどこに向かうんだろう
どうしようもなくなった時は
地べたに腰を下ろして
不細工に微笑む月を眺めて
一休み一休み


鎖で隙間なく繋げられた日常は
遊園地のコーヒーカップ
ハンドルを回せば回すほどに
勢いよく回転する
今どこを向いているのか
わからなくなってしまうよ
僕が普段暮らしている
安穏とした日常はどこにいった


眉間のしわが古ぼけた
写真と比べて多くなった僕が
心の奥底で欲しくてたまらない物
昔はいつでもなにかが
心に留まっていた気がする
今の自分は休みの日に
退屈しのぎに
ウィンドウショッピングする女の子
ディスプレイされた商品を
ただ眺めることで心が満たされる


密造酒でもいい
心が激しく揺れる日には
安酒を飲んで
枝豆を食べて
何も考えることもなく
ただ寝てしまうのがいい
一晩経てば
次の日には
自らの取り巻く環境も
すべて元通り
悩んでいたことなんて
すっかり忘れちまった





自由詩 考えなし Copyright 寒雪 2010-12-12 11:03:15
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