冬のサボテン
アラガイs
 
 東の空はまだ蒼く 
冷たい鼻先に白い息がかかる  
ゆっくりと明けながら
低気圧は姿をかえ
霞む、冬の朝は、ふたりの渇いた喉をきらしてゆく   
/傷んだ髪の刺を擦るように / /
いま、きみを壊したくはない /
枕元には/まだあたたかな絆が残っているから
息を殺し、寝息にそっと、くちづける 
井戸瑞は枯れ
待ち続けながらも
咲く花は咲き
夢はいつか失うもの  
熱い紅茶が冷めないように 
このまま友達でいればいいと… 
薄明に始発電車は少し照れくさい 
コートの背中を丸めながら 
見送る小鳥たちの囀り
白い息を吐きすてて、朝刊のバイクが路地を駆け抜けた
ふと  何かが弾けたような気がして
僕は まだ眠る街のなかを
住み馴れた僕の日常へと帰ってゆく