A delicate white wolf ----- 繊細なき白狼 -----
tomoyan*

今は叩きません その扉を


薄暗い小さな部屋の中のあなたは 小刻みに震えて

冷たく感じる北風は 本当は優しくて

到来する 大切な瞬間【とき】を運ぶことを知りながら

まだ来ぬ 新たな芽吹きに 積もりゆく古き傷を

丁寧に 丁寧に剥がし 


吐く息の白さに 身もそして心も清くなることでしょう


今はまだ 叩きません その扉を

その心に 小さな光が宿るまで

剥がれたものは 捨てることもなく



また 自分と同化するでしょう



光が宿るとき 扉は自ら開かれ

真っ先に 純白の世界に身を投じるでしょう


映るもの全てに 愛おしさを感じずにはいられなくなるでしょう

しなやかな野生は 弱き心と強き心を併せ持つ



美しき白狼





自由詩 A delicate white wolf ----- 繊細なき白狼 ----- Copyright tomoyan* 2010-12-11 08:12:41
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