一夜だけの再会
アラガイs


風に煽られたコートの襟をたて
儚廊と千鳥足歩いてゆく/宵の街
〃霙まじり〃湿る路面を、乾いた音が鳴り響き
反射する/銀色に欠けたハイヒール
家路を急ぐ肩、肩が触れ
「酔ったみたい…」
抱きしめれば唇は濡れていた
さかさまな、時計の振り子が、いったりきたりと〃揺れている

おとこは 眼で追ってゆく

おんなは 耳で感じている

躊躇に歪む顔のほつれに
破斷した携帯の電波が/一瞬立ちつくし/迷う

「いつかまた……」

裏切れない、あたたかな外灯がふたりの影を揺らし
最後の路面電車が下を向いて歩き去る
すれ違う、ドミノの、ふたつの背中が、遠く
恥じらうような脛の傷みに、もう二度と、この場所で、さまようことはない








自由詩 一夜だけの再会 Copyright アラガイs 2010-12-10 05:53:00
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