どのみち
竜門勇気


むつかしーこたぁわかんねー
ときたら
むつかしくねーことも大体わかってねーもんさ
傷ついてへこたれて
頑張れやれそれとあんたらはいうが
富豪に便所紙の心配されてるよなもんだ
不足の根源は結果に無理解だ

どのみちいつまで
言い飽きた
どうせこのまま
言い飽きたころに今居た場所から一段下って
どのみちいつまで
言い飽きるまで

猫がねずみの尻尾を追う
不愉快がドアを開ける
招き入れた客人たちは
肴だけは用意してきた

「どのみちでどう歩く?」
わからなかった
「どうせ?」と言わないでみた
足の小指に穴が開いて部屋のなかを転げまわって
客人たちの肴になった

むつかしーこともそうでないことも
みんな敵に見える夜は
陽が昇っても明け切らず
眠っても明日は来ず
地図を開いてみても
他人に聞いてみても
ここがどのみちの最果てだって事しかわからない
目を覚ましてそして目を覚ます
覚めた目で夢を見ている
夢から覚めたと実感するたび世界の軋みを聞いた
空の色が褪せ 海の波が消え 山が酷く小さく見える
退屈と諦観が両目両耳に住み着いて
腐った水を浴びせて笑っているんだ

むつかしーこたぁわかんねー
自分に起きていること以外は
わかんねーんだ
必死で目を凝らしてんだ
けどぼやけてぼやけてぼやけて
どのみちでもこうなのか
何を選んでも
こうなるしかなかったのか


自由詩 どのみち Copyright 竜門勇気 2010-12-09 06:58:12
notebook Home