壊れているのは僕だ
森の猫

君と会うため
黒服を着た 男たちをさけて
繁華街をライブバーへ向かう

半年ぶりに会う君は
また ひと回り細くなっていた

バーへ入り君を目にして
ハグし合う

いつもと同じ
申しあわせたような
ペアの服装

黒いキャスケット
黒いジャケット
黒のブーツ
人差し指にした指輪

君は さりげなく
僕のスカーフを結び直す

  今日は 壊れているの

君はそうつぶやいて
舞台にあがった

君のハスキーでやさしい声
カラダをとおって
吐き出される
言霊

突き刺さる

君の半年間が
手に取るように見えた

気がつくと
度の強い眼鏡がくもるほど

涙を流していた

あぁ
僕は君の片割れだ

壊れているのは僕だ
と 思い知らされた

舞台を降りた君を
抱きしめて
僕は泣いた

愛しい君よ

強がりはよせ

僕の胸は
いつも
君のためにある

性別を超えて
僕たちは
同志だ

僕たちは
ずっと


自由詩 壊れているのは僕だ Copyright 森の猫 2010-12-09 03:00:21
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