むすびめ
アズアミ
あの日、渡り廊下で
君が教えてくれた蝶々むすび
不器用にからまった
よれよれの僕をほどいて
結び目にちいさく
幼い指で
魔法をかけた
片方だけ小さくて
いびつなハネ
それでも飛べそうな気がした
世界と僕の
あたらしい
結び目
透明になれなかったふたり
きみとぼくの
とてもきれいなわすれもの
あの頃とはきっと
違う糸を
ときどき、
むすび直したり
ときどき、
繋ぐ先を見つめたりして
うまく結べているのかな
くつの底にこびりついた嘘を
置き去りにするほど季節は速く
ねぇあれから
僕らは大人になったけど
カフェラテの正しい飲み方は
いまだに分からないよ