たもつ

 
 
鞄を探していた
たった一つの鞄だった
大切にしていた鞄だった
心当たりのあるところは
すべて探した
鞄の中も探してみたのに
布製のハンカチや
プラスチック製の文房具など
必要だけれど
あまり大切ではないものしか
見つからなかった
そうこうしているうちに
すっかり夜が明けたので
鞄を押入れにしまう
今、押入れを開ければ
そこにある気がしてならない
 
 


自由詩Copyright たもつ 2010-12-06 19:25:47
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