イン・ザ・スープ
せかいのせなか


あなたと一緒に
煮込まれることになった
こども用プールみたいな鍋にほうりこまれて
くつくつ

うつむいても
膝をかかえても
視界のどこかにはあなたがいる

最初のうちは頬をそめたり
しゅんしゅんのぼせたり
わたしたちはままごとめいていてかわいい
そのうち
溶けてどろどろになった
やましい気持ちや後ろめたさが
ねえ
だれかあくをとってよ

きっとあなたもおもっている

そのうち
何度も何度も煮立ったかくしごとがうわずんで
しずかになった鍋のなか
あなたが大統領の腹違いの弟で
わたしがKGBの女スパイだなんてことがわかったら
そのとき
わたしたちの涙はどんな味がするのだろう

想像してたらおかしくって
うつむいて膝をかかえた
平凡なわたしたちで
ほんとうにここちよかった




 


自由詩 イン・ザ・スープ Copyright せかいのせなか 2010-12-06 11:13:49
notebook Home 戻る