投石
宮前のん



ほら起きなさい、と
布団をめくったら
息子が石になっていた
くしゃくしゃパジャマの真ん中で

小さな石だ柔らかい色の
まだ磨かれも割れてもいない
服着せようにもサイズが合わない
朝食だって食べてくれない

どうしたらいいか困っていると
夫がおもむろに小石をつかみ
窓から学校の方へ放り投げた
小石はきゅーんと鳴きながら
放物線を描いて飛んでいき
慌てて飛び出て追いかけて

それきり家には帰らなかった


 


未詩・独白 投石 Copyright 宮前のん 2004-10-27 00:08:16
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