たちつてと
小川 葉
(た)
たがめが
たまに
たんぼにいる
たがめがいるなと
おもっている
ひとの
ごせんぞさまとも
しらないで
しんだあとの
ひとのすがたとも
しらないで
(ち)
ち、が
ながれている
やまにも
かわにも
たんぼにも
そこで
うまれた
わたしにも
ちりじりになった
あなたにも
ながれている
ち、が
おなじふるさとに
(つ)
ピンポンがなって
げんかんをあけると
つるが
おんがえししにきていた
おんにきせることなど
なかったのに
つるはじゅんぱくのはねをきて
たまてばこを
とどけてくれた
たまてばこはあけなかった
あけたとたん
ろうじんに
なるかもしれないから
しかしこのごろ
むすこがおとなっぽい
もしかしたらと
たしかめると
にゅうしが
さんぼんぬけていた
それもまえばが
(て)
テストのひは
いつもより
はやくいえに
かえることができた
むかしの
さいほうそうの
ドラマを
みることができた
そのひは
ひのしょうへいも
わたしをみていた
さいほうそうの
ドラマのせかいの
むこうから
すうじつご
テストも
さいほうそうされた
(と)
とほうにくれて
とうきょうを
あるいていた
けれども
しんかんせんにのれば
かえることができた
せんだいの
かぞくがまついえに
いえにつくと
またとほうにくれた
なつにしんだ
ちちにあいに
でんしゃにのれば
いつでもかえることができたのに
ははがいま
ひとりでくらしているいえに
とうきょうのことなど
なにもしらずに