空を追って
ふるる

さざなみと待ち合わせの時間だった
薄くなってゆく空とおおいかぶさる雲
淡い紫色とオレンジ色

飛行機の窓から見える雨の気配
寄り添えない事情がある
耳あてに、やわらかい言葉がくっついている

優しさというの?
本の背表紙についたほこりを払って
あなたはまだ眠りの中で
きっとずっと先まで目覚めないけれど

頬に銀の光が差し込んで
それは季節の秒針なのだけれど
白い階段
スリッパでのぼってゆく
気持ちのよい広場まで少し

花を盗んで飾りたい
横丁の片隅に

それから
レールのそば

秋にはおいしい実がなることでしょう
それでこの本はおしまい
さみしいけれど閉じて
さみしいけれど忘れて


自由詩 空を追って Copyright ふるる 2010-12-02 10:13:56
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