たこ焼きと絶望
新守山ダダマ

祭りの中を絶望しながら歩いてる
まことに不謹慎で迷惑ながら
祭りの中を絶望しながら歩いてる
こんなはずじゃなかった
絶望してるから一人でとぼとぼ歩きたかったのに
まさかの祭りに巻き込まれて
立ち往生したいけどそれこそ迷惑だから歩いてる
立ち並ぶ出店に沿って歩く家族連れやカップル
その他老若男女の流れは緩い あまりにも緩い
この緩さを傷つけたくはないのだが
すみません、俺はお先真っ暗です

たこ焼き買いたいなあ
せっかくの祭りだからたこ焼き買って帰りたいなあ
でも金がないんだよなあ
たこ焼き買う金もけちるほど
俺は先がないんだなあ
串焼きもラーメンバーガーもいい匂いだなあ
わたあめなんか幸せそのものだよなあ
俺だって幸せになりたいんだよ
幸せになりたいんだけど もうなす術がなくて
すみません、やっぱりお先真っ暗です

このままこの祭りを通り抜けるのか
絶望をひた隠しにして
人々の緩い流れに混じって消えるのか
それも嫌だなあ
せっかくの祭りだから
やっぱり絶望しながら歩くのは申し訳ないなあ
申し訳ないじゃ済まないよなあ

たこ焼き買おうかな
本当はこんな浪費してられないけど
たこ焼き買って帰らないと
このままじゃ終われない
金がないから何も買わないなんて当たり前の決断じゃ
何も変わらない気がする
せっかくの祭りだから 何か買って帰らないとな
たこ焼き買おう
今ここでたこ焼きを買えば
そのうちわたあめも買ってあげられるかもしれない


自由詩 たこ焼きと絶望 Copyright 新守山ダダマ 2010-11-30 13:12:56
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