怖くない
ふるる

一つ、二つ、と灯りのともっている木の枝

波が君の白い服
星はボタン

細い腕にからまるひんやりしたツタ
暗い緑ですべすべ

沖に流された小瓶の中に丸い光

降り積もるのは君の言葉だけだった
僕の中に静かに

君のお腹は透明、赤ちゃんもよく見える(かわいい。)

雨が頬を打つから嬉しいんだ つい
くちづけ
をしたくなる

あなたのほとりに立って 流れ行くものをわたし見てるわ

信号機はルビー、トパーズ、エメラルド

光のつぶてがあたって痛むのよ、傷が

夏を小瓶につめて歩きたい。
渇いたら、飲むの。

わたしたちはいたのかしら あの時、あの場所に?
それとも離れ離れで?
声だけ聞いていて?

確かめようか、ぬくもりを
金色の水が少し流れてくる、あの小瓶

手をあげてもね、止まらないよタクシーは
空を飛んだ、青く、深く、波打つ空に

君の服はいつあつらえたの
去年の夏……

草原が本当に緑だったのか
これから、確かめるんだ、口で

草を噛めばおしゃべりが止まらないの
光に打たれた君の頬

シーツがもう乾いているのなら
くるまって産みたい
赤ちゃん(かわいい。)

スケート靴を置いてきた、冬に。
あの鋭さを好いていた

わたしやあなたに 尻尾や角
が生えてもね
怖くないって言える

湖は凍って月の国

あさって
お父さんが帰ってくるから
そしたら、みんなで写真を撮りたい

かたつむりの銀の帯
トンボはとてもやせっぽっち
はやく飛ぶためよ

海があけわたしてくれた陸に
冒険者が片足をかけて

遠くから羽ばたく音
ううん
おしゃべり
ううん
だまって

桜が咲いて明るくなって
瞬く間に落ちていって
蓋を少しずらしただけで。

暗闇で静電気がぱちぱち光る
驚きもしないの。

唇のやわらかさが懐かしくて
もう一回したいのに大切でできない

車のラジオからまた波の音
ううん

ううん


雷はいつも遠くに
人・人・ひと たくさん
君の名前を教えてよ
一緒に
逃げてあげる

火打ち石がお守りなの
あるいは供物なの?

少しだけ空に と言ってもいいでしょう
あなたのいる、空

ゆでたまごをつぶすと
黄色いぽろぽろが
クレヨンでかくときのぽろぽろ
それはまるで太陽の国

シーツにくるまって
いとしい子が眠る
まぶたに


シロナガスクジラがお手紙を
すみれへ
まどか幼稚園へ
わたしもらいねんいきます


自由詩 怖くない Copyright ふるる 2010-11-28 11:44:20
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