畜生ト吠え
アラガイs


霧のなか/片足の折れた犬を知らないか
空腹にさまよう/満月の夜
気が付くと外灯の赤い肌は暗く
置き去りにされた毛布の染みを洗い流す
裏切りの斜雨ト
/
千切れた鎖を引き摺り/畜生と遠吠えが逃げてゆく
憎しみは届かない裏窓の灯り
血の黒い縁(ふち)を噛み
後尾を毟る
それは小さく霞みながら
放たれた放蕩
物怪病む卑下姿
深い爪痕だけを電柱にしるした
冷たい眠り
群れから
空き地から
地上から消えたまま
声音を忘れる
片足の折れた飼い犬の行く先を
誰か知らないか
/







自由詩 畜生ト吠え Copyright アラガイs 2010-11-27 03:12:02
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