マイナス1.4等星のシリウス
北大路京介


満月か? 14番目の月か?  

星座と月の輝きに見とれて、身体が冷えた


もうパン屋には灯り そろそろ焼き始めるのかな
 
 
煌々と月や星が輝く
夜空が明るいと 真夜中であることも忘れてしまう
 
冬の星空は、1年で最も美しい


オリオン座のベテルギウス、
マイナス1.4等星のシリウス 太陽と月を除けば一番明るい星、
こいぬ座のプロキオンで「冬の大三角」

オリオン座には、まだリゲルと三連星も
オリオンと対峙する おうし座にも一等星 アルデバランが

それを見守るような ふたご座の兄弟星  弟星のほうが明るい

その上方には、ぎょしゃ座のカペラ


明るい星でいっぱい

宇宙の誕生から宇宙の終わりまで、宇宙史・宇宙科学を語るとリアル

古代の人々が創り上げた星座や神々の話しはロマンか
 

現実の女性は、たいがい 
「 寒い 」
「 キモっ(気持ち悪い)」
「そんなん覚えてて 金になるんか?!」

口にださなくても 内心・本音は、そんなところだろう。

 
客観的に考えて「マイナス1.4等星」なる言葉が目に入った瞬間に

 「 あっ こいつヤバい 」 と 思うもん 悪い意味での「 ヤバい 」
 
「 一等星 」で 止めておけばいいのに

いや 「 あれはオリオン座... やったっけ? 」ぐらいが、たぶん無難なところ。


オリオンなんて、沖縄のビールの名前として認識してるほうが良さそう。
 



べつに そんなに天体が好きなわけではない。
 
幼稚園時代に 入院した。
当時は病室にテレビもなく、マンガもなく、
新聞も読めるような年齢じゃないし、
伝染する可能性があったので友達もお見舞いに来られない。
 
ただ手元に宇宙図鑑しかなかったのだ。

「 向かいの病室の子が死んだらしいよ 」
「 隣の病室の子が、退院したけど また戻ってきて死んだらしいよ 」
という声が耳に入りつつ、
退屈でしかたなかったから 宇宙図鑑を読むことぐらいしか・・・
 

   あの頃に歪んだり狂ったりしたものがあるのだろう
 

同じ歳の子たちが
「一等星」という言葉を習う何年か前に
「マイナス1.4等星」を知っていたのだから。

同じ歳の子たちが知らないことを知っていたのだから。

太陽よりも大きい星があることを知っていたし。
太陽系の外にも まだまだ星があることも知っていた。
宇宙は広いことも知っていたし。
神様にお祈りしたって、消えていく同じ歳の命があることも知っていた。
 
親が見舞いにきてくれたところで、面会時間以外は独り。
妹は、祖父母宅に預けられていた。
僕より幼い妹が、両親のお迎えを待っていた。



  最終面会時間が過ぎたら、独り

  寂しいからといってナースコールのボタンを押すような知恵はなかった




自由詩 マイナス1.4等星のシリウス Copyright 北大路京介 2010-11-27 02:23:05
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