空想の鳥
kawa


夢のようだった
銀河鉄道の夜でよんだ
真っ白なさぎの菓子を
わたしは大地に植えていた
ずい分長い間そうしていたのだった
一羽でも多くと
せっせ、せっせ、尊くひかる白い足を埋めてゆく

ひゅうおおおう

風が一きわつよく鳴り
わたしは顔をあげた
わたしは土ぼこりにまみれていた
そこは、木一本生えていない荒地だった
わたしは温覚を失っていて、これは現実ではない、とつぶやいた
うしろには、憂鬱な設計士によってつくられた滑走路のように
ゆるやかに蛇行する白鷺の一列が
遠く地平の向こうからわたしの足元までつづいていて
暴力的にうつくしい夕暮れとともに
世界の果てをつくっていた
わたしは地面にくずれた
目の前に植わった鷺が
浮彫の目で口をきいた

ヒトミニウツスノハ、ソラダケダ

わたしは空を眺めた
ぼんやりと白い輪が
月をかこんで廻っている
やわらかくうつくしくひかる
あれは何だ
ああ、鳥か
わたしの空想の鳥の群れだ




自由詩 空想の鳥 Copyright kawa 2010-11-26 21:14:29
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