あさいゆるし
はるな


誰かを傷つける誠実さと、自分を護る狡猾さなら、いったいどちらが罪だろう
わたしたちは
皆で手を繋いでいることができない
綻び、繕い、
それを誰かが押し拡げ、
ちがう誰かが埋め立てる
そのうえにあたらしい布が広げられ
好き勝手な模様が陣地を奪い合う
もつれ
たわみ
擦れあい
統一を望み、
望みながらもわずかな綻びを無視できない

わたしたちが手を繋いでいられないのは
わたしたちが手を繋ごうとしないからだ
わたしたちにはいつだって
わたしたちに関する知識が不足している
かなしいのは
許せないことだ

どうしたってわかりあうことはできない
誰とも
自分自身とさえも
服も
皮膚も
すべて剥がして
細切れにした区別のつかない肉のかたまり同士になっても
わかりあうことはできない
でも
認めて赦したいのだ
ただ
救われることは
わたしたちはお互いにわかりあえないことを認めたうえでも
お互いに愛し合うことができる可能性を持っている
誠実でありつつも狡猾なわたしたちは
それでも
許しを分け与え続けられる
誰からも許しを教わらないひとが
この世に存在しなくなりますようにと




自由詩 あさいゆるし Copyright はるな 2010-11-26 07:55:56
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