不器用
こころゆくまま

私は不器用です。

定規で線をひいても
いつのまにか
ななめになるし
コンパスで円を書いても
少し内側にずれちゃうし
絵の具で色を作って
ぬりぬりしてても
必ずあと少し足らなくて
はじっこだけ色が違う
水色の空になる。
大人になっても
包丁で
しょっちゅう指を
ザクリと切るし
足の小指は
何かとタンスに
ひっかかる
痛い痛いとよろめけば
息子が散らかした
車のおもちゃを
踏みつけて
足の裏まで痛い痛い。

もう少し

もう少し
違ってたら

私は小さな頃の夢
絵描きさんに
なれただろうか

それとも
あの人の奥さんになって
素敵なお母さんとか?

はたまた
カリスマ美容師?


でも

もう少し違ってたら

このこたちに
会えなかったんだな
って
考えると

不器用で良かった。
って。
ありきたりな

おしまい。


自由詩 不器用 Copyright こころゆくまま 2010-11-23 10:07:52
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