空白 Ⅱ
曲がり屋レオン

空白にワインを注ぐと
それは好い音がする
高価なものでなくてもかまわない
ワインであることが重要なのだ

瓶の口が空白に触れ
香りが立つと
耳を澄ます
ゆるゆると空白の肌を滑り落ちる
雫の音を聞き逃さぬように

ワインを呑みこむ空白の囁き
その音を空白が包む前に
拾い集めろ
その音を空白が吹き消す前に
握りしめろ

空白にワインを注ぐと
それは好い音がする
虚無の存在を確かめるような
それは透明な音がする


自由詩 空白 Ⅱ Copyright 曲がり屋レオン 2010-11-23 00:01:00
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