愛するひと
恋月 ぴの

何かしら対価を見出したので愛するんだと思う
男のひとなら性欲の捌け口だとか

下心で膨らんだ股間を隠し
君だけを愛しているなんて恥ずかしくないのかな

女のひとだとしたら
無性に巣篭もりしたくなって
あれこれとかいがいしく身の回りの世話を焼いてしまう

ただひたすらと満たされたいんだよね

純な恋心を紡ぎだす度に
子宮の内壁から皮一枚ぷるるんとめくれあがって
新しい女に生まれ変わってみたり

背を向けて寝入る男の襟足に覚える
焦げ臭い体臭と
果たしてこの男に許してよかったのかという密やかな戸惑い

誰だって他のひとから愛されたいし
ちょっとだけでも他のひとを愛してみたい

僕を愛しているのなら口づけて欲しいと
目の前に突き出された欲望のかたちを指先ではじき

したたかに

曖昧なままでは決して許されぬ
そんな強欲とも言えそうな思いの向こう側で

いそいそと研いだ刃先を確かめる





自由詩 愛するひと Copyright 恋月 ぴの 2010-11-22 20:36:40
notebook Home