家族の時間
ベンジャミン

家族といっても母とふたり

小さな箱のような部屋を
小さく切り取ったテーブルに
向かい合うことは少ない

たとえば小さい頃は鍵っ子で
学校から帰っても一人
母は生きるために働くことに懸命だった
そんな姿を見て育った私もまた
知らないうちに何かに懸命だった

それを誰が責めるわけでもなく
知らないうちに何かに蝕まれていても
自分が無理を重ねていることに
気づくことは難しい

たった数年で
まるめた紙屑のようになった私を
目の前にして母は泣く
自分を責めるようにすすり泣く

でも母さん見てください
私はこんなに生きています

まるでそんなことを忘れていた頃よりも
私はたしかに生きてるという実感の中で

そんな会話を何度かして
一度止まった砂時計の砂が
再び静かに流れ始める

小さな家族の
小さな時の流れが
たしかに家族の時間であることを



静かに証明ながら


    


自由詩 家族の時間 Copyright ベンジャミン 2010-11-22 18:38:53
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