神の似姿
きりえしふみ

 君は僕の手のなかで息づき育ち
 あどけない眼差しを世界へ……僕へと向けていた

 余りにもそれが無防備で いたいけで
 愛おしく 慈しんで
 叶うことなら 僕は君を盲目的に
 手のなかに閉じ込めたかった

  その綺麗な羽の芯を一本一本
  手探りで手折ってしまって

 その願い……心を
 『認識』した途端に

 その瞳に不安がよぎり
 君は曖昧な世界と君と僕とを切断した
 その意識の下で

 知らなければ ただ無邪気に
 ふたり戯れ
 互いを味わい 慈しみ
 並んで歩くことも 可能であっただろうに

  僕より先に君は気づいてしまった

 その先には共に互いを喰らい尽くす
 未来しかないことを

 『意識』した君 『覚醒』した君は
 僕の手を遠く離れていく

 剥き出しのまま
 哀しいまでに 青いままに
 旅立ってしまう

 今度は自分の力のみで
 再び僕の隣に……

  そんな未来を夢に見て

 (c)shifumi kirye 2010/11/21


自由詩 神の似姿 Copyright きりえしふみ 2010-11-22 14:35:34
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