酩酊()
はるな


電車に乗っている。

夜の仕事を終えて、それはいわゆる飲み屋の女なのだけど、電車に乗っている。酩酊の手前で。
飲み屋には、いろいろな男のひとがくる。それをいろいろな女のひとが待っている。男の子はたまに訪れるけれど、女の子はほとんどいない。ぜんぜんいないと言っていいくらい。
不思議なきもちになる。
わたしは店にいるときには、待っているのだ。どこにも行けないくらい、じっとまっている。従順な犬のように。愚純な下僕のように。あるいは馬鹿のように。
でも時間がくれば、こうやってひとりで電車に乗ることができる。



散文(批評随筆小説等) 酩酊() Copyright はるな 2010-11-17 06:04:57
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