海へ ‥Ⅰ
アラガイs

(檸檬)


哀しみを知りすぎた瞳の奥には波のない水平線がひろがるばかりで
宛てもなく旅をさすらう絵葉書のように
文字は薄れ消え失せてゆきました

わたしはレモンをひとつ皿にのせ
蒼く蒼く深い海の上に浮かべています

それは(ひとくち噛ると 滴が汗のように飛び散って ほら こんなにも甘酸っぱいでしょう )

煌めきが南十字星から届いて
そんな記憶を取り戻すために
深く深く海の蒼さに瞳を捧げたいのです








自由詩 海へ ‥Ⅰ Copyright アラガイs 2010-11-15 23:51:09
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