ノート(ひとつ 忘れて)
木立 悟






柱の光に触れては曲がり
道の入口に立ち 忘れてしまった
ひとつであり 向こうのもの
忘れてしまった


去っていった
また
去っていった
縦の響き
地図の作者
ぼやけた笑み


鏡を隠し
降るかけらは声だった
ふりほどいても
ふりほどいても
声だった


気付くことのない
終わり はじまり
いくら怒鳴りちらしても
そもそも
此処に居る意味さえ何もない


精度の低い器械の
集まりのような脳とからだ
すぐ目の前のものくらいは守りたいのに
それさえも
それさえもできない


洗面台に消えた言葉を
恨んでも仕方がない
明日の菓子を味わえても
糸を虫に変えられても
忘れてしまった言葉は 
どうしようもないのだ




























自由詩 ノート(ひとつ 忘れて) Copyright 木立 悟 2010-11-15 22:05:33
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