分離して
遠藤杏

三越のなんか知らない尻と分離する固い椅子の上で何人ものおばさんやおじさんの並びの間に腰掛けてただ座りたいだけだったけど座ってみるとなんだか違和感を感じて立ち上がろうとしたのだけど立ち上がったところでどこに行くのかなんて知りもしないのでそのまま不快に思いながらもなんだか自分人間の一部のような気がして買い物の予定などを考えているお姉さんがまっさきに化粧品売り場のどこに辿り着くかなんてことはわたしには関係ないのだけれどそこには完全に作り込まれた顔のお姉さん達がギラギラの容器をますますぎらんぎらんに磨き上げて待っているわけで何も不思議なことではありません

足の裏がずきずきして家に帰りたいまっさきに帰って猫のお腹のふさふさに顔を埋めたいしくるくるパーマのテカりはもうたくさん香水のにおいも

髪型が気になってわたしこんなんじゃこんなんじゃないのに電車乗って何食わぬ顔してもいいですか

窓にうつってどうしようもないじゃないか汚い目の下が黒いそうだ家で飲むんだわたし爽やかな清涼飲料をさ爽やかな顔して

影が影をおんぶして重くてもう体から変な液体出そうだしみどりの


わたし
全然変じゃない


自由詩 分離して Copyright 遠藤杏 2010-11-15 20:22:08
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