わたしの心に雨が降る
きりえしふみ

わたしの心に 雨が降る
ひんやりとした それでいて どこか懐かしい
優しい声色を帯びた 翠の滴が
わたしの心をよぎっていく

止むことなき 兵士の流血のように
途切れることもない 恋人たちの思慕のように

 愛おしい……と

わたしの心に 雨が降る
きみの心に 雨が降る

 きっと それらは 何処か別の地点で繋がっているのだ

わたしの心に 雨が降る
モノクロの 古ぼけた
使い古しの フレーズが
悲しみだとか 哀惜だとか 慕情といった思慕が
無数の滴となり 景色となり
地球全土を覆ってゆく

晴れは訪れるか
人々は笑えるか
人々は許し合えるのか
血で血を洗う この戦場で

わたしの心に 雨が降る
きみの心に 雨が降る
 と

七色の橋が 遠い幻の何処かに架かって
嘗て 僕らが一つであったということを
狂おしい程 思い出させる

(c)shifumi kirye 2010/11/14


自由詩 わたしの心に雨が降る Copyright きりえしふみ 2010-11-14 10:55:48
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