月を知っている
朧月
僕は
知っていることと
知らないことを同列に語ってはいけないと思い
月についての
青いだとかまぶしいだとか
ありきたりな語句を沈めた
ほらね
僕の話なんてそれほどきいてない君が
半透明な顔をして
月の輪郭をなぞるだけで
いいんだ
昨日から煮ている
シチューを解放してあげようよ
命たちが コトコト音たてて待っている
木の葉は風に遊ばれてる
冬は待機しすぎて飽きて
秋にじらされながらの
雪はまだまだ山を越えられない
知ってることを忘れたら
知らないことと並べてもいいの?
僕はまた言葉を使って
君と交信する のに
ほらね
僕の話なんてそれほどきいていない君が
そろそろ透明感を増して
うかぶ 空へ 空へ