猫の禊ぎ
モリー

死んでも軽やかに横たわる子猫の上に
その兄弟はいつまでも座っていた
擦り寄ったり愛したりせず
ただ、冷たさを感じているようだった
剥いた目は光すらとらえない

傍らに居た祖父は散歩に出かけた
祖父は最近、地から数センチ浮いて歩く
私は清らかな心で見送った
ただ、温かな影を思っていた
私の目にはいつだって死の虫が映っていた

この灰色の空に
猫や、行き場の無い切なさを
そっと優しく重ね合わせ
はみ出たところを楽園と名付けよう
私の祖父もすぐに召され
私もまた、すぐに会いにいくのだ

虫は毎日増え続ける
私は祖父の帰りを待つあいだ
死んだ猫を愛で、撫でた
兄弟からは強く威嚇されたが
彼らもまた、何かを待っているようだった

弟がうちから餌を持ってくると
彼らは勢いよく走っていった
私の指は死んだ猫の喉を鳴らした

死ぬ前に貴方がみせた身震いは
感極まってのことか
つまりは喜びに泣いたのか
猫の気持ちは誰も知らない


自由詩 猫の禊ぎ Copyright モリー 2010-11-13 21:44:34
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